世に万葉の花が咲くなり
1992.09.26RELEASE
全16曲、演奏時間73分という、CDフォ−マットぎりぎりの物量が響きあう。「シュラバ★ラ★バンバ SHULABA-LA-BAMBA」と「涙のキッス」のビッグ・ヒット(特に後者は7週連続チャート1位)により、大衆芸術としてのサザンの役割を果たしつつ、「HAIR」や「亀が泳ぐ街」のような、実験的な作風へも心置きなく向かっていけた時期でもあった。これまでのノウハウやコツは、いったんリセットされたかのようでもあったが、だからこそ、その先にある、まっさらなスタンダード性に辿り着いているのも魅力だ。「せつない胸に風が吹いてた」や「慕情」は、そんな名作なのである。各楽曲それぞれに、別々のエッジ感があるのも特色だ。ボブ・ディランが憑依したかのような「ニッポンのヒール」には、歌でプロテストする高揚感が色濃い。ただ、桑田が書く社会的な歌の特徴は、単なるアジテーションではなく、冷静な観察や風刺に富んでいることである。レコーディングにおけるテクノロジーがさらに発展し、音を採集・合成・編集する自由度が高まった。アルバム冒頭の「BOON BOON BOON ~OUR LOVE[MEDLEY]」は、その特徴が出ている。これがいったい何人編成なのか、俄に判別できない未体験のバンド・サウンドに仕上がっているのだ。
世に万葉の花が咲くなり
1992.09.26RELEASE
全16曲、演奏時間73分という、CDフォ−マットぎりぎりの物量が響きあう。「シュラバ★ラ★バンバ SHULABA-LA-BAMBA」と「涙のキッス」のビッグ・ヒット(特に後者は7週連続チャート1位)により、大衆芸術としてのサザンの役割を果たしつつ、「HAIR」や「亀が泳ぐ街」のような、実験的な作風へも心置きなく向かっていけた時期でもあった。これまでのノウハウやコツは、いったんリセットされたかのようでもあったが、だからこそ、その先にある、まっさらなスタンダード性に辿り着いているのも魅力だ。「せつない胸に風が吹いてた」や「慕情」は、そんな名作なのである。各楽曲それぞれに、別々のエッジ感があるのも特色だ。ボブ・ディランが憑依したかのような「ニッポンのヒール」には、歌でプロテストする高揚感が色濃い。ただ、桑田が書く社会的な歌の特徴は、単なるアジテーションではなく、冷静な観察や風刺に富んでいることである。レコーディングにおけるテクノロジーがさらに発展し、音を採集・合成・編集する自由度が高まった。アルバム冒頭の「BOON BOON BOON ~OUR LOVE[MEDLEY]」は、その特徴が出ている。これがいったい何人編成なのか、俄に判別できない未体験のバンド・サウンドに仕上がっているのだ。