SOUTHERN TIMES

サザン・タイムズ

FEATURE

原 由子

20人の書き手が筆を取り、原 由子がメインボーカルを務めた楽曲やミュージシャン原 由子について語る特別企画。
原 由子の45年のキャリアを様々な角度から徹底解剖!

時代を超越する、日本人の心と耳のふるさと 文=阿刀“DA”大志

メインボーカリストの存在があまりに偉大すぎて過小評価されている気がするが、ボーカリスト・原由子もまるで人知を超えたような存在だ。かわいらしく、羽のように柔らかなタッチの声質はデビューの頃からほぼ変わらないし、その声はノスタルジックなのに特定の時代を想起させないという不思議。こんなことってあるか?サザンオールスターズの最新作『THANK YOU SO MUCH』収録の「風のタイムマシンにのって」は、軽やかなサウンドと、横浜と湘南の違いこそあれ、実在の名所を巡る歌詞の内容的に、「LOVE AFFAIR〜秘密のデート〜」となんとなくリンクする。しかし、この曲のメインボーカルを担当しているのは桑田佳祐ではなく原で、春を思わせる歌詞を見れば納得。彼女のふんわりとした歌声が抜群に合う。とはいえ、言うまでもなく彼女の音楽性は初期から非常に幅広く、ソロ最新作『婦人の肖像 (Portrait of a Lady)』収録の「オモタイキズナ」のように、憂いを帯びた湿り気のある楽曲にもスッと馴染む。楽曲後半には、8小節にわたる桑田のクールな低音ラップが登場するが、桑田がコーラス以外のボーカルで原のソロオリジナル楽曲に参加するのは、彼女のデビュー曲「I Love Youはひとりごと」以来、なんと41年半ぶり。当時はセリフで、今はラップ――そんな対比がおもしろいし、変わらずそこに在り続ける原の安心感がうれしい。その歌声は、もはや日本の母。

風のタイムマシンにのって