FEATURE
原 由子

20人の書き手が筆を取り、原 由子がメインボーカルを務めた楽曲やミュージシャン原 由子について語る特別企画。
原 由子の45年のキャリアを様々な角度から徹底解剖!
旅情を誘う成分がふんだんに含まれた歌声文=内本順一
旅情を歌う原 由子が好きだ。歌声そのものに旅情を誘う成分がふんだんに含まれている。2枚組ベスト『ハラッド』のDisc1・1曲目に収められた「京都物語」は同盤のために書き下ろされた曲で、先頃終えたばかりの『原 由子 45th Anniversary Live「京都・鎌倉物語 2026」』ではライブの中盤に「旅情」「鎌倉物語」「京都物語」と続けて歌われた。作詞・作曲は桑田佳祐で、2010年4月上旬に京都を訪れた桑田は帰宅後すぐこの曲に取り掛かったそうな。鴨川、南禅寺、嵐山、河原町といった京都の名所のみならず、送り火、小路、石畳、紅葉、雪、桜といったふうに風景や四季を想起させる言葉たちもその地特有の情緒を表現。原は過ぎた感情をじんわり滲ませながら、“ふたりで歩いた”その地を静かに振り返っている。
この曲で始まる『ハラッド』Disc1にボーナストラック扱いで収録されたのがビールのCMでもお馴染みの「第三の男」。キャロル・リード監督による同名映画のテーマとしてよく知られる曲(作曲はアントン・カラス)だが、原は「ラララ」だけで最後まで歌い通している。映画の舞台はウィーンだが、原が歌うと異国感は薄まり、日本のどこかの街をのんびり散歩しているかのよう。ラララだけでこの温度感を出せる歌手、そうそういない。