SOUTHERN TIMES

サザン・タイムズ

FEATURE

原 由子

20人の書き手が筆を取り、原 由子がメインボーカルを務めた楽曲やミュージシャン原 由子について語る特別企画。
原 由子の45年のキャリアを様々な角度から徹底解剖!

あなたの歌声は、愛する人の象徴 文=mekakushe

父親が車で流していた音楽が人生に与える影響は大きい。わたしの場合、それがサザンオールスターズだった。

小学校で「桑田」という題名の卒業文集を書き、「将来、桑田みたいになりたい」(なぜか呼び捨て)と熱心に綴った。影響が途絶えることはなく、やがて私は歌手になった。

原坊(父がそう呼んでいたので)を初めて認識した記憶も、言うまでもなく車内でのこと。

とりわけ“桑田佳祐の曲を歌う原 由子”が好きだ。彼の歌を淀みなく出力できるのはこの歌声しかないと思う。やや官能的な〈想い出のリボン 夜明けまでに結んで〉(「想い出のリボン」)をいやらしさなしに歌ってしまえる。冷めているともまた違う、歌詞と歌唱の間にある一定の距離が心地よい。〈心がちぎれちゃう あんなに信じていたのに〉(「ハートせつなく」)と歌っても押し付けがましさがなく、むしろ透徹としている。また、どこか和風な歌い回しは、演歌とも違っていて、歌唱法でも新しさを確立しているのが巧みだ。

バンド仲間であり妻。そう父が教えてくれて、なんて素敵なんだろうと幼心に思った。コーラスは愛する人にやってもらうのが一番いいに決まっている。その日から、私にとって原坊の歌声は“愛する人の象徴”となった。

想い出のリボン

ハートせつなく