SOUTHERN TIMES

サザン・タイムズ

FEATURE

原 由子

20人の書き手が筆を取り、原 由子がメインボーカルを務めた楽曲やミュージシャン原 由子について語る特別企画。
原 由子の45年のキャリアを様々な角度から徹底解剖!

シンガーソングライターとしての誠実な響き文=田中久勝

4月に行われた『原 由子 45th Anniversary Live「京都・鎌倉物語 2026」』のライブレポートを読んで「おっ!」と思ったのが、「夕方Friend」(1983年)をライブで初披露したことだ。「聴きたかった~」。原のソロ2ndアルバム『Miss YOKOHAMADULT YUKO HARA 2nd』のオープニングを飾るこの曲は、都会的なミドルテンポのトロピカルポップで、彼女の浮遊感のあるボーカルと、村上“ポンタ”秀一の強力なドラムのコントラストはやみつきになる。この愛聴盤の中でもう一曲、“サバンナ・バンド歌謡”ともいうべき「恋のメモリー:三昧編」は、キーボーディストらしい緻密な構成が光り、彼女のハニーボイスが持つ無垢な響きが、甘酸っぱい追憶を多層的に彩る。2曲とも自身が作詞・曲を手がけているが、ご存じの通り桑田曲を歌うことも多い。その世界観は180度違う。自作曲では彼女は「物語の主人公」として、自身の心象風景を素直に投影し、歌と言葉の間の呼吸がより自然で、等身大の“原 由子”がそのまま現れる。そして聴き手の隣で語りかけるような親密さが生まれる。シンガーソングライターとしての誠実な響きが強調される。対して桑田曲を歌う際は、その独特な言葉の重力に従いながら、彼が描く「女性の情念」を表現する「演者」としての側面が強調されているように感じる。その声は少女のような瑞々しさ、強い女性の凛とした佇まいと優しさ、母性を感じるふくよかさ、全てを内包し、どんな女性も表現できる。素敵です。

夕方Friend

恋のメモリー:三昧編