FEATURE
原 由子

20人の書き手が筆を取り、原 由子がメインボーカルを務めた楽曲やミュージシャン原 由子について語る特別企画。
原 由子の45年のキャリアを様々な角度から徹底解剖!
原 由子さんのすごさに気づいた、何度目かの瞬間文=雨穴
子供の頃、私にとって原由子さんは「誰よりも美しく桑田さんとハモる人」でした。自分でCDを買うようになると作家としての才能に気づき(苦労して購入した「誕生日の夜」には衝撃を受けました)、
思春期には「『夜風のオン・ザ・ビーチ』を聴けば、サザンの中核は原さんが担ってるって気づくよ」と知ったような口をきくようになりました(恥ずかしいかぎりです)。
彼女が、実はとてもすごい歌手であることを知ったのはつい最近でした。
数年前、シャッフル再生中に「愛して愛して愛しちゃったのよ」が流れたとき、思わず「ええ!?」と叫んでしまいました。
アルバムで繰り返し聴いたはずなのに、この曲におけるボーカルの艶やかな魅力に気づいていませんでした。
しかし、プロとして表現活動を始め「情景」をお客さんに伝えることの難しさを思い知ったあとに聴くその歌声は、あまりにも軽やかにそれをこなしているように感じたのです。
モノクロ映像の中にあった昭和の街並みが、突然、フルカラーの現実として目の前に広がるような、当時の風が自分の横を通り抜けていくような爽やかさに呆然としていました。
アウトロとともに消えていくあの台詞も、毎回聞きほれてしまいます。