プレイリスト
#四六時中もサザンを聴いて ~OKMusic編~
プレイリストのテーマ“#四六時中もサザンを聴いて”をもとに選曲をしている時、いくつか思い出したことがある。平成7年生まれの生徒に“今何時?”“そうねだいたいね”というやり取りを教えていた小学校の頃の担任の先生、忘年会で「いとしのエリー」を熱唱していたアルバイト先の店長、音楽番組に出ているサザンオールスターズを観て“桑田さんの歌声は本当に唯一無二だよね”と呟いた母のこと、軽音楽部の先輩がコピーしていた「マンピーのG★SPOT」。サザンオールスターズは言わずと知れたロックバンドだが、今思えば数々のヒット曲を認識する前から、その愛されっぷりを感じていたと思う。“夏と言えばサザン”という台詞は夏が来るたびに何度も聞いてきたが、私にとってサザンオールスターズは“ちょっぴり大人の音楽”という印象で、成人式の日を迎えるよりも16歳の夏に初めてベストアルバム『海のYeah!!』を聴いた時のほうが新しい扉を開いた気になっていた。
24歳になった今でも、サザンを聴きながら少し背伸びをすることがある。「せつない胸に風が吹いてた」のような孤独感や人生の苦みはまだ分からず、「夏の日のドラマ」の《瞬くよりも早く 愛は逃げてゆく》とはどんなに切ない気持ちなのだろうかと考えた時もあった。しかし、夏休みにした花火を思い出す「素敵な夢を叶えましょう」を聴いて目頭が熱くなったり、「夢と魔法の国」の訴えに少し頷いてみたり、「Bye Bye My Love (U are the one)」のイントロに心が締め付けられたりと、月日を重ねるごとに感じ方の変化もでてくる。「ミス・ブランニュー・デイ(MISS BRAND-NEW DAY)」の近未来的なサウンドのように何度聴いても新鮮味あふれるナンバーや、「勝手にシンドバッド」を聴くとあの時の先生のことまで思い出してしまうのは相変わらずだが、生まれるずっと前からサザンオールスターズの音楽が存在していた自分にとって、サザンは母の手料理のように馴染んでいるものであり、恩師の教えの如く大人になってから自分なりの解釈が生まれることも楽しみのひとつ。時代が変わっていっても、青春の儚さ、恋のきらめき、愛する人との別れ、大人の情けないところやちょっと悪そうなことまで教えてくれるのはサザンオールスターズだと思う。
OKMusic編集部 千々和香苗