ひと筋縄では語りにくい、実に不思議なバンドだ。「JAPANEGGAE(ジャパネゲエ)」は、ジャパンとレゲエを組み合わせた造語だろうが、実際のサウンドは和風フュージョンで、歌詞では古語を使い、〈愛苦ねば〉が〈I could never〉に聴こえるような言葉遊びを用いている。さらに、シンセやシンベ、ドラムマシンを用いたテクノポップもあれば、ギターレスのラテン、AOR風の歌謡ポップス、ソウルバラード、エレクトロファンクもあり、１曲単位でもリズム＆ブルースからドゥーワップに展開したりもする。また、全曲のソングライティングを手がけるギター＆ヴォーカルの桑田佳祐が女性目線で歌う曲もあれば、キーボードの原 由子のヴォーカル曲もあるし、バンドの演奏力が際立つ変拍子のナンバーや想像力を刺激するインストナンバーもやる。さらには、バンドメンバーが演奏には一切参加していないフルオーケストラのスタンダードジャズのような曲まであるのだ。ここまでいろんなジャンルにトライし、様々な手法にチャレンジしながら、聴き手の心を自由に開放してくれるようなバンドを他に知らない。和洋折衷やミクスチャーという言葉だけでは少し心許ない。彼らは光合成もするけどプランクトンも食べるミドリムシ、哺乳類だけど卵を産むカモノハシのようなハイブリッドなバンドである。