SOUTHERN TIMES

サザン・タイムズ

presented byReal Sound

REVIEW

-音楽ライター30人が語るサザンのオリジナル・アルバム-

今井 智子 氏

真剣レビュー

サザンらしさを下敷きに独自の楽曲が並ぶ名作

絶妙な造語をタイトルにサザン流ミクスチャー・サウンドを編み出した「JAPANEGGAE(ジャパネゲエ)」から、ジョン・レノン愛をたっぷり歌い込む「Dear John」まで13曲。当時のトレンドだったシンセなども取り入れ、多彩なゲスト陣と共に新たな方向を目指していることを感じさせる作品だ。だが新規だけを求めるだけでなく、いや、だからこそ、だろうか。いわゆるサザンらしさのあるサウンドやメロディを散りばめながら独自の楽曲に仕上げていく腕に、一段と磨きがかかってきたのがこの作品あたりではなかったか。〈割りとよくあるタイプの君〉と歌うが「ミス・ブランニュー・デイ(MISS BRAND-NEW DAY)」は新しいのだ。ソウル・スタンダードのテイストをたっぷり織り込んだ「夕方 HOLD ON ME」も、懐かしくも新しい。そしてメロウな名曲を「女のカッパ」と名付け、「祭りはラッパッパ」でPファンク並みに躍らせる、遊び心と音楽愛がせめぎ合うサザンらしさは健在で、また地元を歌い込み仲間を歌にする、普通のアーティストなら一歩間違えれば楽屋落ちになりそうな曲をスマートに聴かせるのも桑田ならでは。人を食った表題が、すでに十分な人気者だったが人気に重ねず本気で作品に取り組んでいる彼らの姿勢を感じさせる。

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