サザンオールスターズが放つアルバムの圧倒的な完成度に震撼せずにはいられない。ビートルズ、ストーンズらの名作を大胆にオマージュした遊び心あるカバーアートから新人とは思えない自信が垣間見える本作は、レッド・ツェッペリンを思わせる「胸いっぱいの愛と情熱をあなたへ」、初期ビートルズへの回答的楽曲「Young Love (青春の終わりに)」など、60〜70年代の洋楽ロックを現代的に解釈した温故知新的サウンドが印象的だ。

また、それだけに止まらない彼らの音楽性の幅広さも本作では存分に発揮されている。モータウンを彷彿とさせる「Moon Light Lover」、意味深な言葉遊びが印象的なサイケ・ヒップハウス「愛の言霊(ことだま) 〜Spiritual Message〜」、昭和歌謡風ポップ「恋の歌を唄いましょう」、デジロックとエキゾチックな昭和歌謡を掛け合わせた疾走感のある「恋のジャック・ナイフ」、壮大なオーケストラアレンジの「心を込めて花束を」など、ファンキーなグルーヴを効かせた楽曲から繊細なバラードまで、ジャンルを横断しながらも自分たち色に見事にまとめ上げる卓越したセンスには脱帽するほかない。

今後、長く愛されるであろうJ-POPのマスターピースが、今ここに爆誕！日本の音楽シーンの明るい未来は、この規格外の新人バンド、サザンオールスターズと共にあるはずだ。