SOUTHERN TIMES

サザン・タイムズ

presented byReal Sound

REVIEW

-音楽ライター30人が語るサザンのオリジナル・アルバム-

安田 謙一 氏

真剣レビュー

口ずさめば気がつく、桑田メロディの攻め

オリジナル・アルバムとしては『SOUTHERN ALL STARS』(1990年)以来となるバンドによる完全セルフ・プロデュース作。カヴァー・アート上部にコラージュされた爆発する飛行船のイメージから直結するような曲名を持つ「胸いっぱいの愛と情熱をあなたへ」でスタートする。60年代後半のブリティッシュ・ロックのエッセンス濃厚なこの曲や、「愛無き愛児(まなご)〜Before The Strom〜」のメロトロンの音色、さらに先のレッド・ツェッペリンにとどまらない複数のイメージの引用など、(あえて21世紀的に表現すると)ヴィンテージ・ロックへの目配せがアルバム全体に散見される。なんといっても「愛の言霊(ことだま)〜Spiritual Message〜」。“とぅわ”と叩き込む脚韻は日本語ラップの進化とパラレル・ワールドで深化していったサザンにしかなし得なかった大発明だ。同じくシングル・ヒットした「あなただけを〜Summer Heartbreak〜」、「太陽は罪な奴」、さらにタイトル曲「Young Love (青春の終わりに)」などで発揮されたポップ・ソング・メイカーとしての“攻め”にもまた桑田佳祐の真骨頂を見る。口ずさんでみると、改めて、いいメロディだらけでびっくりする。

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