SOUTHERN TIMES

サザン・タイムズ

presented byReal Sound

REVIEW

-音楽ライター30人が語るサザンのオリジナル・アルバム-

荻原 梓 氏

真剣レビュー

これぞサザンの真骨頂!音楽愛溢れる4作目

 スタジオに籠りレコーディングに専念した期間“FIVE ROCK SHOW”を経て、バンドとしての成熟と音楽的深化を遂げたサザンが放った粒揃いの一作。サザンのいいところがぎゅっとこの一枚に凝縮されている。

 前作までと比べて大きく変わったのは、多くの映画音楽を手がけるジャズピアニストの八木正生が全面的に協力している点だ。これにより本作はバンド作品にとどまらない緻密かつバラエティ豊かなサウンドを奏でている。ジャジーなピアノが牽引する小洒落たムードの「Hello My Love」は弦と管が絡み合うアンサンブルが見事。まさに八木のことを歌う「ラッパとおじさん(Dear M.Y's Boogie)」はほぼ全編英詞のロックンロールで、「Let's Take a Chance」はレゲエ歌謡風味。バグルスの名曲をもじった「Big Star Blues(ビッグスターの悲劇)」の歌詞にはエリック・クラプトンからビートルズまで登場するなど、溢れんばかりの音楽愛が詰め込まれている。

 キャプテン・ビーフハート的なジャケットのこの可笑しなお面の中には、音楽を愛して止まない純朴な青年の眼差しが隠れている。

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