SOUTHERN TIMES

サザン・タイムズ

presented byReal Sound

REVIEW

-音楽ライター30人が語るサザンのオリジナル・アルバム-

宗像 明将 氏

真剣レビュー

自分たちのルーツ音楽を咀嚼した5作目

 P-ファンクかと思うような「NUDE MAN」は、ラテンの空気もまといながら1分強で駆け抜けていくが、それをタイトル・ナンバーにした5枚目のオリジナル・アルバム。冒頭の「DJ・コービーの伝説」からして実に泥臭い。「思い出のスター・ダスト」は、ゴスペルの高揚感もあるソウル・ナンバー。中華風味の利いた「流れる雲を追いかけて」は、ジャズ・ヴォーカル・ナンバーのようであると同時に、まるで服部良一による昭和歌謡のようでもある。さながらサザンオールスターズ流の「蘇州夜曲」あるいは「胸の振子」だ。かと思えば、「匂艶にじいろ THE NIGHT CLUB」の艶やかなメロディーや〈Night Clubで男も濡れる〉という歌詞は、まさに桑田佳祐節と言いたくなる。「逢いたさ見たさ病める My Mind」のオルガンやコーラスもゴスペルのようだ。「Oh! クラウディア」には中期ビートルズを連想させられる。「来いなジャマイカ」は、曲名のイメージ通りのレゲエ。自分たちのルーツ・ミュージックへの憧憬を隠すことなく、日本語へと咀嚼する顎の強さを感じさせるアルバムだ。マーケットや大衆性を意識していると思われる部分があるところも愛おしい。

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