けしからん！ それが『NUDE MAN』の第一印象だ。全裸の男が海に飛び込む構図のジャケ写で、“頭隠して尻隠さず“である。いきなり“ケツ出し“とは新人としての謙虚さが足りない。新人らしからぬところは作品の随所に現れている。ロック、ポップス、歌謡曲、R&B、ラテン、レゲエなど、様々なジャンルの音楽のエッセンスを独自の解釈で昇華。つまり発想の自由さが破格なのだ。演奏力も曲の完成度も高い。「夏をあきらめて」「Oh!クラウディア」など、すでに名バラードの風格が漂っている。曲調が多彩なのに統一感があるのは、遊び心と音楽マニアのセンスがあふれているから。響きとノリを重視した桑田の独特の歌唱スタイルは日本のHIP-HOPミュージシャン達の研究の成果だろうか。聴き終わると、ジャケ写の印象が一変する。余計なもの持たず、ルーツをさらけだし、音楽の広大な海に飛び込む覚悟を感じた。けしからんという感情は既成の価値観との摩擦により生じるものだ。邦楽の変革者になりうる逸材。多様な音楽性ゆえに方向性が定まらず、迷走する恐れもある。しかし、もしかしたら国民的バンドと呼ばれる日がくるかもしれない。大きな可能性を秘めた、いや剥き出しにした新人バンドの登場だ。